TERMINAL MAGAZINE

デジタル施策のトップランナーとしてad:tech登壇決定。ファッション業界から初のキーノート・スピーチ選出。| vol.1

ジーユーのインスタグラムプロモーション「GU TimeLine」。今や絶好調のアレッサンドロ・ミケーレのグッチ、そのローンチを担ったバイラルキャンペーン「GUCCI渋谷ジャック」。そして国内のルイ・ヴィトンの店舗で展示されたデジタルインスタレーション「LOUIS VUITTON x Chapman Brothers」。

ファッション業界の人間なら誰もが知っているこれらのデジタル施策を、企画・制作・運用まで手掛けてきたのがデジタルクリエイターの「ナカヤマン。」氏だ。

そのナカヤマン。氏が今回ファッション業界で初めて、デジタルマーケティングカンファレンスの最大手「ad:tech(アドテック)」のキーノートスピーチ(最も規模が大きい講演演目)に登壇することになり注目を集めている。

海外のラグジュアリーブランドから国内マスブランドまで、すべてのカテゴリーのブランドから求愛される彼のクリエイションの秘密を聞き出すべく、インタビューを行った。

まず始めに、ナカヤマン。さんの来歴からお聞かせください。

株式会社ドレスイングを設立して丸10年が経ちました。大学を卒業後、6年のメーカー勤務を経て独立したという経歴です。会社員時代にはプロダクトプランニング、マーケティング、ブランドマネージメントの仕事を経験しました。大学は化学専攻で「全体像の仮設→数値的検証→差分の再仮設→数値的検証」という行動規範はキャリアにかなり影響しています。分子構造もマーケットも、間接的な数値データからしかモデリング出来ないという意味では、使う脳ミソも一緒な気がします。

他のクリエイティブエージェンシーと比べて代表作と呼べるものが多い印象ですが、依頼はどのように獲得されてきたのですか?

経歴からも分かる通り、企画・マーケティングに特化してきた為、ボクには営業スキルがありません。加えて会社に営業部門自体が存在しない。ドレスイング設立後、数年目に気付いて「紹介制エージェンシー」と謳って誤魔化すことにしました(笑)。ですから仕事の依頼は知人・友人経由。クライアントからクライアントをご紹介いただくケースも多いです。

紹介制とは言え、今やさまざまなプロモーション施策の依頼が来ると思います。引き受けないこともありますか?

あります。と言ってもブランド名や予算額で決めることは本当にありません。必ず実際1〜2時間お会いして、しっかり話します。その上で「違うかな」と思ったら正直にお断りします。違和感を感じながら引き受けることは、唯々お金のためにやることになる。引き受ける方が失礼ですよね。全てのクリエイションにボクのわがままが介在する仕事なので、その辺の『理(すじ)』だけは通しておきたいです。

その「違う」の判断は、ナカヤマン。さんの感性に依存するのでしょうか?

感性と言えばそうですが、ビジネスに持ち込む感性は恋愛の「好き・嫌い」とは違います。情報、経験、予測される未来から導き出されるとてもロジカルな結論だと思います。二元論で表すなら「べき・べきではない」というか。

入口の判断がしっかりしているからこそ、多くのヒット企画が生まれるのかもしれませんね。デジタルプロモーション施策における企画のコツの様なものはあるのでしょうか?

コツでは無いですが思考法はあります。2016年10月にワールドワイド・カンファレンス『DECODED FASHION』の登壇でお話した『Single, Powerful Content for Multiple Channel』というデジタルプロモーションのスキームがそれです。

インスタグラマーの投稿依頼も構造は同じです。フォロワー10万人へ届く(可能性がある)『チャネル費用』と、10万人フォロワー獲得してきたクリエイティビティを信頼した『コンテンツ費用』、この合計がインスタグラマーへのフィーです。この様に全てのメディアを『チャネル』と『コンテンツ』に分解すると課題解決が容易になります。

例えば、テレビ・雑誌など旧来の「太いチャネル」自体の人気が無くなってきました。「太いチャネル」から「まあまあ太いチャネル」まで格下げになったというか。実はこれは大問題です。なぜなら太いチャネルが無くなったから「ビジネスの規模を縮小しましょう」とはならない。解決すべき課題が生まれている訳です。

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