2017.12.19

【FASTGROW】世界ブランドが受け入れた日本人クリエイターの思考とは。

マーケティングと購買が、急速にデジタル化している。ファッション業界も、その例に漏れない。2017年で言えば、流行語大賞となった「インスタ映え」よろしく、インフルエンサー・マーケティングがトレンドだった。一方で、もはや代理店のパッケージ商品の一つにすら見えるコーディネート投稿、イベント集客、情報拡散一辺倒の施策は表層的すぎるという見方も多い。購入さらにはブランディングまでを設計できている本質的なデジタルプロモーションは稀有。だからこそ、このナカヤマン。というクリエイターに依頼が集まるのだろう。今年はルイ・ヴィトンとのデジタル・インスタレーションで幕をあけ、グローバルエージェンシーを設立、その後わずか半年でコーチと構築したプロモーションが米国本国で採用された。GUからグッチまで、話題のデジタルキャンペーンを手掛けてきた彼に、ECエヴァンジェリスト・川添隆氏が聞いた。

Single, Powerful Content for Multiple Channel

→川添 米国でのグローバルエージェンシー設立から間髪入れずに「手掛けたコンテンツがコーチの本国でも起用された」というニュースには本当に驚きました。私もプレイしてみましたが、レトロゲームというコンテンツを核に、オンラインゲームとオフラインゲームの二種類が連動している見事な企画でした。

ただのゲームに見えて、絶妙な形で購買につながっている。ハッシュタグで検索してみましたが、ローンチの前日にシークレットイベントも開催されていましたよね。思わずFacebookの投稿に「こうきましたか!!」と書き込んでしまいました。

これについては後ほどお聞きするとして、まずは今年のトレンドでもあるインフルエンサーのお話から伺いたいと思います。ファッションブランドのプロモーションは、雑誌の部数減少に伴い、予算をデジタルに充当する傾向にあります。

しかし、代理店が用意したリストに従いインスタグラマーとタレントをキャスティングするのみという印象です。リアルクローズ、ラグジュアリー関係なく、どのイベントにも同じ子たちが招待されていますよね。

しかも、明確なインプレッションが計測できず、売り上げへの貢献度も分からない。計測できないからインフルエンサーとブランドの相性すら判断できない。ナカヤマン。さんが講演でよく話されているコンテンツがないまま、露出=チャネルだけにお金を垂れ流しているブランドが多い。

つまりプロモーションが本来の目的であるはずの売り上げにつながっていない。そんな状況の中で、ナカヤマン。さんは、GUやグッチの事例において、一つひとつの案件で課題を解決していますよね。

GUと構築された「GU TimeLine」などはインフルエンサーを使って購買を活性化させたプロモーションの大成功事例ですが、なんと2014年の立ち上げで、もう3年前の施策です。

→ナカヤマン。 「GU TimeLine」はクライアント側の課題設定が明確でした。ファーストリテイリングのブランドですから集客構造は既にしっかりしていたんです。

母数がある割には購買が起こりづらい、つまりコンテンツが足りていない状況。それを「売れるデジタルカタログ」というお題としてご依頼いただいた。それが「GU TimeLine」です。例えばインスタグラムを使うということは依頼にはありませんでした。

GUのアイテム数を考えるとカタログの撮影・更新に効率を求めるべき。マスブランドなので一つの商品を多面的に、例えば1アイテム・複数コーデで様々なターゲットに訴求するべき。

更には2014年というとGUにファッションのイメージが少ない時代なので、ファッションブランドとしてのブランディング効果を付加するべき。複数コーデというキーワードと絡めて、流行りのブランドとのコーデ提案となるべき。そうなるとGUサイト内だけでなく、ファッションイメージ起因で購買が起こるターゲットが生息する場所でも露出するべき。

このように課題解決に必要な因数を洗い出してから企画を立てます。当社のクライアントはファッションブランドが多いので、依頼はシーズンに準じていただくことが大半ですが、春だから春のキャンペーンをやりましょう、という無意味な提案はしたことがありません。当社との関わりを切っ掛けに、クライアントの課題が一つでも解決すればと企画しているつもりです。

「GU TimeLine」は2年半も運用に関わらせていただいたので、当社はノウハウ蓄積やスキーム構築の機会に恵まれました。2016年以降、講演で話すデジタルプロモーションの独自スキーム「Single, Powerful Content for Multiple Channel(一つの強力なコンテンツを、複数のチャネルに最適化して総合展開する)」もこのタイミングで生まれました。

“メディア”を「コンテンツ(ネタ)」と「チャネル(ネタを見せる場)」という2つのキーワードに分解して説明するようになったのも、この「GU TimeLine」が切っ掛けです。

海外ブランド、海外の市場から寵愛を受ける論理的思考

→川添 いまや最も売れているブランドとも言われるグッチのプロモーションではどういう設計をされたのでしょうか?ファッションショーのムービーを用いて話題になるのも珍しければ、渋谷のスクランブル交差点の全5面ジャックとは言え、ビジョン広告がバイラルすることもかなり珍しい事例だと思うのですが。

→ナカヤマン。 タイミング的には、クリエイティブ・ディレクターが現在のアレッサンドロ・ミケーレに変わり「グッチが変わった」ことを伝える目的のプロモーションです。渋谷でビジョン広告をやることまでは決まっていたので、ただの広告枠の動画放映で終わらせない構造を企画しました。

ビジョン広告枠が、どうすればイベントに変わるか。イベントに変わったとして渋谷ローカルの施策が、どうすれば日本全国に伝わるか。そのために不可欠な触媒としてインフルエンサーを起用しています。

→川添 そして今年のコーチのクリスマスキャンペーンもナカヤマン。さんの企画・制作。しかも今回は日本に加えて、本国アメリカで展開されているとお聞きしました。

私はこのプロモーションをコーチのLINEメッセージから体験しましたが、リンクを開くとレトロなゲームセンターで遊ぶ女性モデルのムービーが始まります。そして実際にそのゲームがオンライン遊べてしまう様なストーリー体験型のコンテンツになっている。

ゲームへの導線のビジュアル、動画、80年代風のレトロゲーム2種類がコーチのクリスマス・アイテムをプロモーションするストーリーテラーとして機能している。コーチの商品がゲーム内に登場するという意味では拘束時間の長い広告としても解釈できますね。

ドライブゲーム「NEW YORK DRIVE」、ホッケーゲーム「RAINBOW HOCKEY」共に、要所要所に登場する商品ページへのECリンクが用意され、かなり購買を意識されている。さらにはオンライン購買へのルートと分岐する形で、チケット発行によってコーチ店舗への誘導が図られています。

ブランドにとってクリスマスは売り上げを期待する大事な時期とは言え、デジタルのクリスマス施策でここまで購入に関して抜かりがない企画は珍しいですよね。銀座、表参道、新宿の旗艦店では同コンセプトのゲームがオフラインゲームとして用意されている。

こちらも80年代をイメージさせるゲーム筐体のデザインではあるものの、ゲーム画面がホログラム投影されていて最先端の中身。かなり手の込んだ、そしてデジタルと店舗双方を巻き込んだ立体的な施策ですね。

 

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