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バンクシーの「Dismaland」に訪れた、ナカヤマン。によるスペシャルレポート!

センセーショナルな作品を次々に生む覆面芸術集団、バンクシーによる期間限の“Dismaland”が世界中で話題をさらっている。イギリスのウェストン・スーパーメアにあるリゾート地の跡地に8月22日から9月27日までの期間限定でオープンしていた“悪夢のようなテーマパーク”。そこに、ファッション&ビューティ界で活動するデジタルクリエイターのナカヤマン。(ドレスイング代表)が訪ねた。その全貌のスペシャルレポート!

人気グラフィティアーティストであり、覆面芸術家であるバンクシーの最新作はテーマパーク。そう聞きつけて行ってみれば、それは「最低なテーマパーク」を模した「最高の美術館」だった。

「Dismaland」は、ご存知「Disneyland」と「Dismal(”陰気な””ダルい”の意)」を掛け合わせたネーミング。その名に相応しく、朽ちたシンデレラ城がアイコンの寂びれたテーマパークだ。その寂びれたテーマパークは、ロンドンから3時間は掛かる寂びれた場所にある。そんな寂びれた場所にありながらも、約一ヶ月の開催期間に36億円とも言われる経済効果をもたらしたDismalandとはどんなものだったのか。


まず語る価値があるのは最低の接客。朝11時過ぎに到着して目に入るのは大行列。オペレーションは最低。オンラインでチケットを購入済みだと言うのに入場まで一時間は掛かる。その先に待っているのはダンボールで作られたセキュリティ。スタッフは老人、赤ちゃん区別なく、しっかり、ねっとり「感じ悪く」セキュリティチェックする。

来場者はここで理解するのだ。なるほど「最低の接客を楽しむコミュニケーション」なのだと。園内でも交代の度にダルそうに歩くスタッフ。客のピザを勝手に食べ始める風船売り。来場者はこの最低な、最高に笑える接客を堪能する。

園内にはバンクシーの他にも、ダミアン・ハースト、ジェフ・ギレット、ロニット・バランガなど数多くのアーティストが展示をしている。全てをしっかり見るには1日では足りないくらい盛りだくさんの内容。

アイコンになっている朽ちたシンデレラ城の正面には歪んだアリエル。水面に映った歪みにも、ネットコンテンツの転送詰まりの様にも見える。歪めたディズニーのキャラクターに想起させているのは「虚像」というワードかもしれない。他にもダイアナ妃の事故をモチーフにしたシンデレラとカボチャの馬車。真っ暗な空間でもその造詣が見えるのは周りでパパラッチがシャッターを焚いているからだ。しかも出口ではスプラッシュマウンテンよろしく撮影されたシンデレラの写真が購入可能。購入時には無数に表示されている中から、欲しい写真のナンバーを言わされるのだが並んでいるのは全て同じ写真。それはそうだ、すでにシンデレラは死んでいるのだから。

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