ジーユーのインスタグラムプロモーション「GU TimeLine」。今や絶好調のアレッサンドロ・ミケーレのグッチ、そのローンチを担ったバイラルキャンペーン「GUCCI渋谷ジャック」。そして国内のルイ・ヴィトンの店舗で展示されたデジタルインスタレーション「LOUIS VUITTON x Chapman Brothers」。
ファッション業界の人間なら誰もが知っているこれらのデジタル施策を、企画・制作・運用まで手掛けてきたのがデジタルクリエイターの「ナカヤマン。」氏だ。
そのナカヤマン。氏が今回ファッション業界で初めて、デジタルマーケティングカンファレンスの最大手「ad:tech(アドテック)」のキーノートスピーチ(最も規模が大きい講演演目)に登壇することになり注目を集めている。<前編>ではデジタルプロモーション施策の成功カギが『Single, Powerful Content for Multiple Channel』というスキームにあることを話して頂いた。今回は更に深堀して、海外のラグジュアリーブランドから国内マスブランドまで、全てのカテゴリーのブランドから求愛される彼のクリエイションの秘密を伺う。
前編のお話しを伺って『Single, Powerful Content for Multiple Channel』のスキームは今の時代にぴったりだと感じました。しかし、なぜナカヤマン。さんだけがこのスキームにたどり着いたのでしょうか?
理由は3つ考えられます。一つ目はボクの今のキャリアが、SNSコンサルティングから始まったこと。扱い単位で言えば「ブランドアカウント一個」から始まり、「ブランドアカウント全体」、「デジタル戦略全体」、最終的には「地上波テレビや雑誌までを含めたプロモーション戦略全体」へと一歩ずつ視野を広げて来ました。その分だけ本質からブレにくかったとは感じます。
二つ目は、全ての取引がクライアントと直接契約であること。やはり新しい提案も、実験的な提案も通り易いです。複雑な意図も伝わるし、責任の所在も明確なのでチャレンジしやすい。
三つ目は、プロジェクト単位で依頼を受けていること。企画、制作、メディア・バイイング、サードパーティーの起用、インフルエンサーのアサインなど、プロジェクト全体を、当社がコントロールさせて頂いています。この手法なら企画意図が伝言ゲームによって減損することはありません。
なるほど。しかし逆に、その3つが他の会社で出来ない理由が分からないのですが。
この手法では、経営的に規模を諦めることになります。より多くの依頼を受けて、より多くの人を雇って、より多くの売り上げを作るという、会社としては当たり前の成長を捨てることになる。意外だと言われますが、実際ドレスイングではメンバーが5名を超えたことはないし、売上が3億円を超えた年度は10年間で一度もありません。やりたい仕事だけをやりながら、メンバー全員がご飯を食べれているので、個人的にはひとつの理想形だとは思っていますが。
ご自身の仕事を極めるという意味では、正しい仕事の仕方ですよね。
「極める」という意味ではそうですよね。ボク個人としては、まさに「極み」に近づきたくて仕事をしているのだと思います。ただ一方で「仕事」を「道」ではなくて「商売」と捉える方が、やはり普通ですよ。
《続きはこちらから》 TERMINAL MAGAZIE: デジタル施策のトップランナーとしてad:tech登壇決定。ファッション業界から初のキーノート・スピーチ選出。| vol.2