VOGUE JAPAN

ダミアン・ハーストの“虚構”から何を感じるか?

デジタルクリエイターのナカヤマン。による、ヴェネチア・ビエンナーレのレポート後半戦。フォーカスしたのは、ダミアン・ハーストだ。アート関係者たちの間でも賛否両論だった虚構の物語……。その正体とは。

今回のヴェネチア・ビエンナーレは5月10日(水)から12日(金)の3日間がプレビューデーだった。この期間はアーティストやアート関係者がヴェネチアに集うのだが、いつもと違うのはその3日間の話題の中心がビエンナーレ公式展示では無かったということだ。ダミアン・ハースト。彼が、是も非も巻き込んで主役の3日間だった。

5月10日(水)。激混みの空港を経てヴェネチア本島に入ったのはプレビューデー初日スタートから3時間経過した13時。いつも通りビエンナーレの関連ハッシュタグをチェックするが、ダミアン・ハーストの投稿ばかりでメイン会場の情報が収集できないスタートを切る。レポート【前半】で記した日本館を含め、メイン会場のパビリオンを幾つかを回った。

同日夜、アート誌『TOILETPAPER MAGAZINE』のサラのお誘いで、カンナレージョで行われた同誌のシークレットイベントに参加。歴史的な建築に強引に梁を渡し照明やミラーボールを設置した最高のイベント(目の前にラ・ラ・ランドのライアン・ゴズリングいた!)だった。かなり長居して27:00頃に移動。そこから皆でバーに立ち寄って、終わったのが28:30くらい。初日はこんなスケジュール、つまりたくさんの人と情報交換できた1日だった。


合言葉の様に飛び交っていたキーワードは「ダミアン・ハースト見た?どう思った?」。ボクは「明日見る予定。あたなはどう思ったの?」と聞く側でいるしかなかったが、Frieze Londonのメンバー含めてアート関係者の多くは「否定的〜一部否定的」だった。理由を聞くと「バジェットありきで下品」「コマーシャル」が多数。アートジャーナリストの「制作物としては最高、だがコンセプトが空っぽ」という意見が一番好意的なものだった。

まずは今回のダミアン・ハーストの新作を紹介したい。個展のタイトルは『Treasures from the WRECK of the Unbelievable』。タイトル通り「難破船から引き揚げられた財宝を展示している」という「ウソ」のプレゼンテーションだ。

引き揚げられたという「ウソ」のアートワークと、引き揚げ時に撮影されたという「ウソ」の記録映像で構成されている。「ウソ」だと感じさせないために作り込まれたアートワークの魅力と、「ウソ」だと伝えるためのネタバラシの面白さが混在している。

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