5月13日から行われているヴェネチア・ビエンナーレ。建築とアートが入れ替わるが、今年はアートの年だ。プレビューに訪れた、デジタルクリエイターのナカヤマン。が、現地の様子をレポートしてくれた。日本館代表作家の岩崎貴宏を始め、今年のみどころは?
以前バンクシーの「Dismaland」の記事を寄稿させて頂いたが、今回は世界最大規模の国際美術展「ヴェネチア・ビエンナーレ」のレポートをお届けする。
ヴェネチア・ビエンナーレは二年に一度ヴェネチアで開催される国際美術展で、今回は2017年5月13日(土)~11月26日(日)で開催。通例で一般公開日から遡って3日間はプレビューデーが設定されており、世界中からアーティストやアート関係者が集まる。
パビリオンがあるメイン会場はジャルディーニとアルセナーレの2箇所。メイン会場の他にもヴェネチア中にさまざまな展示が配されているのだが、そこは徒歩とボートしか交通手段がないヴェネチア、老若男女問わず一日中歩き回ることになるので覚悟と体力が必要だ。
日本館のパビリオンはジャルディーニに配されている。
前回2015年の日本館は塩田千春さんの作品「掌の鍵」の展示だったが、その後GUCCI銀座のアートプロジェクト『GUCCI 4 ROOMS』(2016年)でも起用された。赤い糸を張り巡らす作風が特徴的なので、印象に残っている方も多いはずだ。
今年の日本館の展示は岩崎貴宏さんの「逆さにすれば、森」。岩崎さんと言えば「リフレクション・モデル」という水鏡を立体化したような造形と、身近なアイテム、例えば本の栞の繊維を抜き出して作る細やかな創作、この2つの作風が代表的だ。
展示はこの両方の延長にあるものだったが、見せ方にもさまざまな企画が盛り込まれていた。ジャルディーニの総合入口から日本館に辿り着くと行列に気付く。プレビューデーの初日でコンスタントに20〜30名程度。なかなか珍しい光景である。この行列はまんまと岩崎さんの2つの仕掛けにハマった人々と言うわけだ。